1リーグ制になる? 〜プロ野球の危機〜

近鉄、オリックスの合併騒動は、そのままパシフィックリーグ消滅、1リーグ制へと怒涛のように進行しています。どうも有力球団のうちでは根回しはほぼ済んでいるようで、シナリオは着々と進行しています。本当にこの選択が正しいかどうかは結果を待たないといけませんが、プロ野球ファンとしての私個人の意見はあまり賛成とはいえません。これは1リーグか2リーグかの2者択一論ではなく日本のプロ野球運営がそもそも大きな問題を抱えており、そこのところを改善しないとプロ野球自体が衰退、崩壊するのではないかと危惧されるためです。前に「プロ野球と観客動員数」のタイトルで一度批評を書かせていただきましたが、前回は甘口で皆様からのきつい御評価がありましたので今回は辛口でいきます。

巨人が「盟主」と言われる由縁

枕詞のように巨人に使われる「盟主」ですが、その由縁は新聞社同士の販売合戦がそもそもの始まりです。'20年代の2大新聞とは東京の朝日新聞と大阪の毎日新聞で、読売新聞は3番目といっても朝日、毎日には大きく部数で水を開けられていました。他にも理由はあるでしょうが、最大の理由は当時も今も国民的人気スポーツの野球のイベントを握っていなかったためです。朝日は夏の甲子園大会、毎日は春の選抜と都市対抗野球(昔は大人気でした)を主催し、これを大きく報道することで部数拡張の有力手段としていたのです。

劣勢挽回の手段を考えあぐねた挙句、「野球だったら本場アメリカの大リーグを呼ぼう」と日米野球の企画をぶち上げることになります。'31に実現したこの企画は大成功の裡に終わり、'34に第2回を企画することになります。第2回は第1回より参加選手をグレードアップする事を目指し、ベーブルース、ルー・ゲーリッグ、チャーリー・ゲリンジャー、レフティ・ゴーメッツなどアメリカ野球史上に残る名選手の招聘に成功することになります。

ここまでは読売の狙い通りだったのですが、野球人気を苦々しく見ていた文部省は野球統制令を発し学生野球選手とプロ野球選手の試合を禁じてしまったのです。第1回の時は六大学を中心とした学生チームが対戦相手だったのですが、野球統制令のせいで日米野球の対戦相手がいなくなってしまい、このままでは日米野球の企画自体が空中分解することになります。

困惑した読売でしたが、「学生野球がダメならいっそのことプロのチームを作ってしまえ」とばかりに全日本軍(大日本野球倶楽部)の構想をぶちあげ、学生野球の有力OB選手や中等野球(高校野球)の有望選手をかき集めてアメリカ大リーグ選抜チームの対戦相手を作り上げてしまったのです。もちろんこの全日本軍が読売巨人の直系の先祖になります。

興行はまたしても大成功で、その余韻から日本にもプロ野球リーグを作ろうとする動きが急速に活発化します。この辺のところははっきりとはどこにも書いていないのですが、読売が必死の下工作をしただろうことは疑いの余地はありません。プロ野球が出来上がれば朝日や毎日に対抗できる強力な宣伝武器を手に入れる事が出来ますし、その上、プロ野球は中等野球や都市対抗と違い試合数も多く、シーズンも長いので絶えず紙面を飾ることが出来ます。翌'32には大阪野球倶楽部(現阪神)、さらに翌々年には名古屋軍(現中日)、東京セネタース(消滅)、阪急(現オリックス)、大東京軍(消滅)、名古屋金鯱軍(消滅)が続々誕生し今に続くプロ野球リーグがスタートします。

私は阪神ファンであって巨人は嫌いですが、この創成期における読売が果たした功績は評価せざるを得ません。読売が大リーグを招聘しなければあの時期にプロ野球は誕生しなかったでしょうし、チーム強化のための努力も他球団と一線を画するほどのもので、戦前の9回のシーズンで5連覇を含む6回の優勝を飾り、プロ野球における巨人ブランドを確立しています。戦後の混乱期にもいちはやくチームをたちあげ、戦争によってボロボロになったプロ野球組織の再建にも大きな役割を果たしています。

現在のプロ野球が脆弱な創成期、戦中戦後の混乱期を潜り抜けれたのは、読売が「プロ野球興行をなんとしても日本に根付かせるのだ」との執念の賜物と言っても良いと思います。その点だけはその後のプロ野球の発展で様々な問題を引き起こしたとはいえ、忘れてはいけない功績だと思っていますし、この功績が「盟主」の自負となっているのは間違いありません。

2リーグ分裂の経緯

戦後再スタートを切ったプロ野球は娯楽に飢えた時代背景もあり、ますますの発展を見ることになります。しかし'49に現在に至るプロ野球の最大の問題点である2リーグ分裂問題が発生します。この問題が日本のプロ野球の正常な発展を妨げたことは間違いないと断言できます。経緯をできるだけ追ってみたいと思います。

当時コミッショナーであった正力松太郎は、日本プロ野球の発展のためには2リーグによる拡大運営が望ましいと考え、当時8球団あったものをまず2球団増やし、さらに数年後にはもう2球団増やして2リーグに移行する腹案を実行に移そうとします。2リーグ運営のために正力は毎日新聞をひきこみ、できあがる2つのリーグを読売のリーグと毎日のリーグとして運営する方法を考え、ひそかに毎日と相談します。毎日も日々盛り上がるプロ野球人気に便乗できるこの案には大賛成でさっそくリーグ加盟を申請する事となります。

正力は読売のオーナーとして戦前のプロ野球設立に大きな役割を果たしただけでなく、政財界に太いパイプがありプロ野球界に大きな影響力をもっていました。ところがGHQの公職追放にひっかかり、読売からもその影響で追放され、コミッショナーの地位もGHQの意向で引きずりおろされ、日本野球連盟取締役会長という正体不明の役職に追いやられます。つまりリーグ拡大から2リーグ制移行への道筋は正力が確かに作りましたが、加盟問題を審議するオーナー会議の時には正力はその影響力を大幅に落としていたのです。この事が問題を複雑にしていきます。

運命のオーナー会議の議題は毎日(現千葉ロッテ)と西鉄(現西武)のリーグ加盟問題です。まず反対派の筆頭として血相を変えたのが読売。「今まで苦労して作り上げたプロ野球興行を毎日に提供するなどは論外」とばかりに大反対論を展開します。正力のプロ野球発展論と読売の権益擁護論の対立です。読売は正力が読売を追放された意趣返しの意味も込めての提案と判断し、一歩も譲らない反対論を主張します。読売に同調して反対論の球団が中日、太陽(横浜の前身のひとつ)、中立派が阪神、阪急、南海(現ダイエー)、大映(ロッテの前身のひとつ)、東急(現日本ハム)でしたが、正力は読売のあまりにも露骨な態度に憤慨、中立派の5球団を加盟賛成派に転向させる工作を行います。

正力の工作によりオーナー会議の形勢が反対派3球団、賛成派5球団と不利になった事を悟った読売は、巻き返しのために阪神抱き込み工作を行います。どうも説得工作の最大の武器は

「正力構想で2リーグになると阪神と巨人は人気のバランスから別リーグにされる可能性が高い。そうなるとあれだけ儲かる阪神巨人戦ができなくなりますよ」

この話にコテンと転んだ阪神は加盟反対派に寝返り形勢は振り出しに戻り、その後もすったもんだの末に毎日だけ加盟OKの決定になります。決定といっても誰もこの話を納得したわけではなく、その後も大紛糾の挙句、加盟反対派と賛成派で別リーグ結成、正力の望んだ発展解消的な2リーグ成立ではなく、文字通りの喧嘩別れの2リーグ分裂となってしまいます。

2リーグ分裂の後遺症

2リーグ分裂の結果、毎日加盟反対派はセントラル・リーグ、毎日加盟賛成派はパシフィック・リーグを作ります。両リーグに加盟するチームは膨れ上がり15球団にもなります。喧嘩別れですから、将来の発展や共存共栄を考えた本拠地配置や人気球団の振り分けなどは何も考えず、数合わせだけの水増しリーグになります。

倍増となれば野球のレベル自体も低下します。歴史も実績もない弱小球団同士のカードなんかに客が集まるわけも無く、1リーグ時代の末期にようやく経営が成り立ち始めた球団経営は元の赤字路線、宣伝費としての経費処理の対象になってしまいます。これは当時も今も最高の人気球団である巨人と阪神を抱えたセントラルもそうでしたし、パシフィックはなおさらでした。

これだけのしこりをもった分裂ですので両リーグの関係は険悪なものになります。とくにセントラルは「パシフィックなんか勝手にリーグを脱退して作ったもので、正統は我らだ」の意識が非常に高く、なにかとパシフィックを見下す態度を続けます。これは50年以上が経った今でも同じのようです。決して同じプロ野球をする仲間として手を取り合って行く気など毛ほどもありません。

経営体力の無い球団は次第に淘汰整理され、赤字であってもこれを持ち支える事ができる親会社の球団のみが生き残る事になります。親会社というタニマチの好意でのみ存在するリーグでのオーナーの権威はますます高まり、その中でも抜群の集客力を持つ巨人の発言力はすべてを圧することになります。セントラルはもちろん、慢性的な赤字経営に苦しむパシフィックの球団もそうで、巨人が何か事件を引き起こして社会問題となってもそれを非難する立場には決してならず、もし巨人がリーグを脱退して新リーグを作る動きを見せればすかさずついて行こうとします。50年前の2リーグ分裂の後遺症はそんなところにも脈々と受け継がれています。

2リーグ分裂は当時ようやく経営として成り立ちかけていたリーグ運営をぶち壊し、プロ野球の発展を長年にわたり遅らせるものになったと言えます。

問題点

日本のプロ野球組織はその始まりが読売新聞の宣伝戦略の一環として発足したところにそもそもの問題点をはらんでいます。しかし脆弱な創成期にはやや奇形的な発展をせざるを得なかったのはいたしかたないと考えます。理想論だけでは興行が成り立たないからです。読売もよちよち歩きのプロ野球をリードするため献身的な努力をしています。正力松太郎は読売の総帥として巨人の繁栄にももちろん努力しましたが、一方でプロ野球全体の発展を考えての行動が出来る人物であったと考えています。

正力構想の2リーグ化は読売リーグ、毎日リーグとあくまでも企業論理の上の発想のように見えますが、リーグ拡大の後の宣伝バックアップは読売単独では困難であろうとの現実的な見解から導き出されたものと考えます。それと、ここから先はあくまでも推測ですが、プロ野球の発展のためには「読売新聞のためのプロ野球」ではだめで「プロ野球のためのプロ野球組織」に改革していかなければならないと考えていたようです。読売色を薄めるためには互角の対抗馬の毎日が必要で、この両者をうまく操って真のプロ野球のための野球機構を作ろうとしたのではないかと考えます。それができるだけのカリスマと政治力が正力にはあったからです。

ところが公職追放のため正力の影響力が低下し、さらに正力が読売を追われた後、読売に巨人至上主義者が台頭し、、

「プロ野球を作り、育てたのは読売である。プロ野球はすべて読売の利益のためにあり、これを1mmとも侵す連中は許されない」

この時期はプロ野球が大きく発展する節目に当たっており、創成期に「盟主」であった読売の立場をゆっくり後退させ、読売のためではなく、プロ野球全体を発展させる組織を作り上げる最大のチャンスだったのです。正力構想の最大の狙いもそこにあったと考えます。

ところが2リーグ分裂騒動はそのすべてを水の泡としました。分裂を押し留めることができなかったプロ野球機構は崩壊し、今に至るまで両リーグの上に君臨する組織は出来ていません。今の日本プロ野球機構は単なる両リーグの連絡団体の域を超えず、両リーグの利害の調整や特定球団(はっきり言えば巨人)のエゴむき出しの横紙破りの行動ひとつこれをおさえる機能はありません。これは読売が2度と正力のような人物が現れて読売の権益を侵すような工作ができないように、プロ野球機構およびコミッショナーの権限を縛り上げ、飾り物の組織にしてしまったからです。

プロ野球全体の利害を強力に調整する機構が日本に生れなかった弊害は、創成期の「読売新聞のためのプロ野球」からの進化を阻み続けます。さすがに部数拡大のためだけの理由は薄れたでしょうが、「読売新聞のためのプロ野球」から「読売巨人のためのプロ野球」に変質しながらです。

この変質はより悪い方への変質といえます。「読売新聞のためのプロ野球」は確かに巨人の利益を第一に考えるでしょうが、あくまでもプロ野球全体の発展も配慮しながらのものです。ところが「読売巨人のためのプロ野球」となるともう読売巨人の利益のみしか考えない独善きわまるものになります。

「読売巨人のためのプロ野球」は近年ますますその影響を強めています。今回の1リーグ制への再編の話はもちろん突然噴き出たわけではなく、何年も前から水面下で蠕いていた事は間違いありません。再編されるリーグに入れてもらうためにみえみえの賄賂めいた事をする球団(ダイエーの小久保無償譲渡事件)もありますし、天井知らずで高騰するFA騒ぎへの容認もそうです。ドラフトを骨抜きにしてしまった逆指名制も、巨人の恫喝に逆らえば仲間はずれにされると感じた他球団は黙って受け入れています。おそらく最大の不興を買っているのは近鉄とオリックスで、野茂やイチローの大リーグ移籍を認めたあおりで巨人の至宝であった松井を失った恨みは深く、真っ先に合併の犠牲にされてしまっています。

ここまで書けば分かってもらえると思いますが、最大の問題点はプロ野球が「読売巨人のためのプロ野球」であることです。プロ野球全体を考えて構想、実行できる人間、組織がまったく存在していないことが問題点なんです。仮に12球団が存続していこうとするなら、誰でもわかるのですがおおよそ次のような事が必要と考えます。

  1. 本拠地を適正に各地に分散した上でリーグを再編する。
  2. 人気、戦力に偏りが出ればこの時もリーグ再編を行う。
  3. 大リーグのような大胆な交流試合を行う。
  4. 戦力均等化のために完全ウェーバー制のドラフトを行う。
  5. 放映権料をプロ野球機構が完全に管理し各チームに公平に配布する。
  6. チームの総額年棒を設定し、それ以上の経費をかけられないようにする。

異論はあるでしょうし、他にももっと大胆な改革論はあるでしょうが、もっとも実行しやすいと考えられる3と4と5さえ現実には夢のまた夢であることは誰しも知っています。読売巨人が反対だからです。さらには読売巨人の利益のおこぼれでかろうじて球団経営が成り立っている他のセントラル球団が尻馬に乗って反対だからです。

新リーグの悪夢

読売巨人渡辺オーナー提唱の1リーグはいったいどんなものになるのでしょうか。完全に読売巨人主導のリーグですからそれは恐ろしいものが想像されます。読売巨人が嫌がり、渡辺オーナーが嫌悪するものが除かれるわけですから、

ざっと思い浮かべるだけでこれぐらいはあります。巨人はあり余る資金を投与して有望新人選手をかき集め、FAとなれば他球団が手塩にかけた主力選手を買い漁り、松井のように大リーグに抜けるのを絶対に認めない。読売巨人は「永久に不滅」となり、川上巨人を上回る10連覇、20連覇に驀進する。他の球団は巨人に勝っただけで国民的ニュースとなり、いつしかシーズンの話題は「はたして今年は巨人の全勝優勝を阻止できるか」に関心が集まる。おそろしい世界ですが、現実味はかなりあると考えています。ただし巨人の20連覇はありえないと思います。なぜならそんな状態でプロ野球は存続しないからです。ここまで書いてあらためて非常な恐怖を感じています。自分が書いた恐怖のシナリオ以外に進む可能性がどうしても思いつかないのです。

対照的なのはサッカーのJリーグで、企業名を廃して地域名での呼称にすることを推進し、放映権料もJリーグが管理分配することを強行しました。この時最後まで異議を唱え反対したのが読売で、他のマスコミが「ヴェルディ川崎 vs 横浜マリノス」としていたのをかなり長い間「読売ヴェルディ vs 日産マリノス」と報道しています。それでもJリーグは粘り強く地域名への変更を推し進め、ついに企業名で呼ばれるチームはなくなっていますし、放映権料の管理分配もしっかり握って離していません。屈した形になった読売はヴェルディ川崎の経営から大幅に手を引くことで報復しています。

Jリーグ最大の危機だったと考えます。短期的には読売に屈した方が安易であったでしょうが、将来を考えて目先の利益に走らなかったのです。これが出来たのはJリーグをきちんと統括する機構があり、長期戦略を考えた上、たとえ人気チームが脱退をほのめかしての恫喝をしても妥協をしなかったためです。結果は良好でいまやサッカー人気は確実に地がついたものに変わりつつあります。

古色蒼然、旧態依然の発想しか出来ない某球団の権威主義の偏屈老人がひたすら「読売巨人のためのプロ野球」のお念仏を唱えております。悲しいことにその周りの茶坊主(某球団以外のオーナー連中)はひたすら権威主義の偏屈老人のご機嫌を取ることのみにしか関心は無く、導かれる道が滅びの道であることには一片の興味も無いようです。ひとりの老人のご機嫌を取るためにプロ野球が無くなってしまう事に、私たちは指をくわえてため息をつくことしか出来ないのでしょうか。

検証、近鉄謎の球団赤字

最後に余談ですが、近鉄が球団を手放そうとしたもっとも直接的な原因である「年間40億円の赤字」ですが、これがどうにも不可解な数字なのです。昔から球団経営には莫大な費用がかかると聞かされています。選手の年棒もFA制度導入以来、鰻上りの聞くも恐ろしい巨額なものになっています。大阪ドームの年間使用量が10億円と聞いて眩暈もします。だから40億円ぐらいは赤字が出ても不思議はなさそうですし、球団を手放すのもしかたが無いと一見みえます。

ここからはルポライターの玉木弘之氏の神戸新聞掲載記事からの引用なんですが、

「選手の総年棒が20億円、大阪ドームの使用料が警備費を含めて10億円、その他経費を5億円としてあわせて35億円。一方でチケット収入だけで30億円はあるとなっており年間40億円の赤字は考えられない。」

もう少し検証すると玉木氏の総年棒20億円は契約更改の時に発表される推定年棒の総和と推測します。この額はあくまでも選手へのインタビューから推定されたもので、球界関係者の話からするともう少し実際は多いそうです。もっとも多いと言っても2倍も3倍もあるわけではなくて、1割から2割程度、場合によっては3割程度のようで、さらに正式の契約年棒のほかにスター選手はお祝儀のような功労金的なものももらっていることもあるようです。それらをすべて甘目に加算して25億円程度になっている可能性はあります。

その他経費とは球団職員の給料や球団会社の事務費、キャンプ費用、遠征費用などを指していると考えます。玉木氏の5億円の根拠はわかりませんが、これも大甘に加算して10億円としてみましょう。そうすると球団の年間出費は目一杯で45億円ということになります。

一方で収入の方ですが、2003は資料が無かったので2002で135万人です。悪名高き主催者発表なので割り引いて考えて実数が100万人だとします。

席種 一般料金 団体料金
前売り 当日売り 8〜100名
まで
101名以上


下段席 特別指定席 4200円 4500円
内野指定席 3000円 3200円 2800円 2600円
上段席 テラス ツインシート
(2席分の料金)
4600円 5000円 4600円


内野自由席 おとな 2000円 1800円 1600円
こども 1000円 900円 800円
外野自由席 おとな 1200円 1000円 900円
こども 500円 400円 350円

上の表は今季の大阪ドームの近鉄の入場料ですが、一人平均3000円としてチケット収入30億円、2500円でも25億円あります。辛い方を取って25億円として他に全く収入が無いとしても年間20億円以上赤字が出ようが無いのです。実額は10億円ぐらいが妥当ということになり、大阪ドームでなく年間使用料が6000万円のGS神戸(今はYahoo!BBかな)であればほとんどトントンということになります。

残り30億円の赤字はどこから湧いてくるのでしょう。考えられることは観客動員数の水増しは想像を絶するもので、有料入場者数が20万人ぐらいしかい無いか、選手の年棒が推定年棒の2倍から3倍ぐらいあるぐらいしか説明がつきません。しかしそこまで発表される数字が大嘘なら、プロ野球の金銭上の発表は選手も球団も信じられる数字はなにひとつ無いことになります。

まさか巨人が湯水のように使う補強費は他の球団からの上納金制度があって賄われているのでしょうかしらん。球団経営には謎が多すぎる。