「大人になったら何になりたいか?」もしくは「何になりたかったか?」なんていうポピュラーな質問があります。私自身はいまの小児科医という職業に満足しています。それでもなお重ねて「本当は何になりたかったか?」と聞かれれば小説家と考えています。
やりたかったらやればよかったじゃないかと言われそうですが、私もしょせんは小市民。やはり生活の安定という大人の知恵で医者を選んでいます。もちろんこれ自体は決して後悔はしておりません。ただ夢というのはどこかで持ち続けているもので、開業して自分のHPをもつことができたので昔の夢を思い出してこんな駄文を堂々と発表しています。
おもしろいかどうかは、うちの職員や知り合いは「おもしろいよ!」ってお世辞を言ってくれるのでそれだけでも嬉しい限りです。もっともくどいとか読みにくいとかの批判もありまして、その点は小説家を職業にしていなくて本当に良かったと思っています。
ただ書いてみると本当に大変な作業であることに驚いています。最初の頃の浦島太郎話やシンデレラの話、またありとキリギリスのお話ぐらいは本当にサラッと書き流してそうでもありませんでしたが、最近の美空ひばりや坂本九の話、また杉原千畝の話になるとセミ・ドキュメンタリーのノン・フィクション風のものになると参考資料をかき集めるだけでも大変な手間と労力が要ります。
私は小説家として司馬遼太郎が好きなんですが、この人が新作に取り掛かると東京の神田の古本屋から関連書籍が消えうせたという話を聞いたことがあります。東大阪の司馬氏の自宅には記念館がありますが、そこに図書館顔負けの氏の蔵書があります。それには足許にもおよぶはずもありませんが、なぜそうなるのかの一端ぐらいは実感しています。
私にはそんな立派な蔵書をもつゆとりも時間もありませんから、情報は99%ネットからの情報頼りになります。ただそのネット情報は膨大な代わりに玉石混合でなおかつ一長一短がありすぎ、なかなかこれひとつでばっちりなんてものがありません。またネットの情報は掲げる人の良識によりますが、かなり偏ったり事実の裏づけに乏しかったりで、そこから正しそうな情報、役に立つ情報を拾い上げるのはおもいのほかにつらい作業です。
美空ひばりや西本監督の情報は割りと簡単に揃えられたのですが、坂本九ぐらいになるともうだめです。さがしかたでもっと良い情報があるはずなんですが、はっきり言って根負けしそうになってしまいました。杉原千畝もそうで、ビザ発行の経緯や晩年にユダヤ人に再発見された後のエピソードは比較的充実しているのですが、今回私が書きたかったビザをもらった後のユダヤ人のその後の救出談になるともういけません。ウラジオストック総領事根井三郎なる人物の発見、外務大臣松岡洋右の意外な行動など見つけ出すのに吐くような思いをしました。
本来このCofee breakは読んでもらう人にもそうなんですが、私自身も書くということででcoffee breakしようと思っていたのですが、何かこれを作るのにさらにbreakが要りそうになったので今回はtea breakということで・・・