経過措置への対策

まず風疹ないし麻疹の予防接種を既に済まされたお子様は2006年3月31日までに残りの予防接種を行なってください。また麻疹や風疹にかかったお子様も同様です。これらのお子様は経過措置ではどうにも救いようがありません。

残りの麻疹も風疹もまだ予防接種も実際にもかかっておらず、なおかつ2006年4月1日時点で1歳児であるお子様への対策となります。基本的に予防接種の効果はMRワクチンを新制度で2回接種されるのがベターであるのが大前提です。私も出来うる限りMRワクチンをするように誘導する方が望ましいとは考えています。ところが2006年4月1日まではかなりの日数があります。予防接種をしていないと麻疹や風疹にかかる危険性が高くなります。とくに託児所や保育所に早い時期から子供を預けられると危険性は飛躍的に高まります。

実際に麻疹や風疹になる危険性とMRワクチンのメリットを天秤にかけての対策が必要となります。これから考えられる対策をならべますが、「正解」はありません。いずれを選択されるにしてもすべてご両親の自己責任となります。

  1. 厚生労働省の指示通り3月1日以降の誕生日の子供のみ新制度まで予防接種を遅らせる。

    これが公式には一番正しい方法です。ではもし3月に予防接種を遅らせたばっかりに麻疹や風疹になったら厚生労働省が責任を取るかといえば、そうではありません。あくまでも「遅らせるほうが望ましい」と勧めているだけで、たとえ3月31日でも現行制度で予防接種するのは可能です。

  2. せめて1月1日以降の誕生日なら4月まで待つ。

    今回の経過措置で対応を始めている比較的多くの医療機関が取っている対策です。もちろん明確な医療的根拠があるわけではなく、どこかで期限を切るのなら3ヶ月前ぐらいと言う感覚と、ちょうど年も変わるので勧めやすいと言うところです。ただし厚生労働省の推奨時期より2ヶ月感染のリスクは増します。

  3. 今からでも待つ。

    1月1日以降を待つように勧めたら、「じゃあ、12月は?」との素朴な質問が出ます。それを突き詰めると2006年4月1日で1歳児でMRワクチンが接種可能なお子様は、今からでも待つは成立します。もちろん待つ期間が長ければ長いほど感染の危険性は高まります。

  4. 4月まで待てないので自費でMRワクチンを接種し、U期は公費で接種する。

    問屋筋の情報では10月末にはMRワクチンが発売されるようです。接種するのにどんな条件となるのか現時点では詳細不明ですが、おそらく自費(任意)で接種できる事だけは間違いありませんから利用する選択もありえます。

  5. 制度が変わるの期待して待つ。

    これは極めて不確定な情報ですが、麻疹、風疹単独接種時へのMRワクチンの安全性確認試験は現在行なわれており、数年のうちに接種可能になるかもしれないとの話もあります。この情報を期待して待つと言う選択も成立はします。

当院でもご相談があればアドバイスはもちろんさせて頂きますが、あくまでもアドバイスとして選択を提示させていただくだけで、答えを請求されても残念ながらできません。現時点でどの選択が望ましいかは後日になって見ないとわかりません。とくにお一人目のお子様のご両親などは途方にくれるかもしれませんが、どうにもお答えしようがないのが現実です。最近、国がよく口にする得意のセリフである「自己責任」みたいですのでよくお考えになられてご決断されるようお願いします。

新しい情報が入り次第、また更新させていただきます。