病気も心配だが熱だけでもどこか障害(とくに脳障害)がおこらないかの心配はよくある質問です。一方で「熱さましを使うのは良くない」みたいな情報が耳に入ったりするとどうしたら良いかパニックになってしまうお母様方、お父様方がおられます。
たとえ40℃の熱が1ヶ月続いても高熱の影響だけでは障害が起こったりしません。純粋に熱だけで障害が起こるのは43℃ぐらいなれば可能性があるとなっていますが、43℃なんて熱はそれは途轍もない熱と思ってください。私も医者になってから42℃までは見たことがありますが、43℃なんて見たことはありません。
人間の体は上手くできていて高すぎる熱による体の障害を起さないようなコントロール機構があると思ってもらったら良いと思います。そのコントロール機構を吹っ飛ばしてしまうような異常な病気は確かに存在しますが、これは難病奇病の類で小児科医でも経験するものは稀なものです。
もちろんそんな異常高熱は突然出現するわけではなく、病気が悪化した極地に出現するものですから、お母様方がうっかり見逃してなんて事で起こるものではありません。少なくと40℃や41℃程度ではなにも起こりませんのでその点は最低限安心してもらって結構です。
小児科医は発熱に対しては結構冷淡な面がありまして、お母様方が「38℃あります」といわれても「熱があるんだな」とぐらいにしか聞いていませんし、「39℃もあります!」と悲鳴のように言われても「そこそこ上がってますね」とぐらいにしか感じていません。「先生、40℃です」と顔を蒼ざめさせながらいわれても「けっこう高い熱が出ているな」と聞いていると思ってもらってけっこうです。それぐらい39℃とか40℃の熱はいくらでも普通にある熱であると考えてください。