米国における抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」の安全性情報についてのお知らせ
〜1歳未満の患児への処方について〜

本年1月2日、米国における抗インフルエンザウイルス剤『タミフル』(以下、本剤)の発売元である米国ロシュ社(Roche Laboratories)は、米国の医療従事者に向け本剤を1歳未満の乳児に使用しないよう求めるドクターレター(Dear Healthcare Professional letter)を発信いたしましたのでお知らせいたします。

本剤は、1歳以上の患者において効果および忍容性が示されているものの、1歳未満の乳児における安全性は確立しておりません。海外で実施された幼若ラット(7日齢、14日齢)に本剤高用量(1000および500mg/kg)を投与した前臨床試験成績に基づき検討した結果、1歳未満の乳児における本剤の使用に関して、危惧されました。
本試験では、1000mg/kgのリン酸オセルタミビルを生後7日齢のラットに単回投与(外国人小児における臨床推奨用量の約250倍、日本人小児における臨床推奨用量の500倍)した結果、異常に高用量のオセルタミビルおよびリン酸オセルタミビルに曝露されたことによると考えられる死亡がみられました。この時、リン酸オセルタミビルの脳中濃度は、成熟動物に比べ1500倍高く、この理由として、7日齢の幼若ラットでは血液脳関門が未熟である可能性が挙げられました。本試験で、7日齢の幼若ラットでは500mg/kg投与時および14日齢の幼若ラットでは1000mg/kgのタミフルを投与された場合であっても、死亡または著しい影響は認められておりません。
この前臨床試験結果から、ヒト乳児における臨床的な問題、危険性を明確に推察することはできません。しかしながら、血液脳関門が未熟な乳児において、リン酸オセルタミビルの曝露量が予測できないため、タミフルを1歳(通常、ヒトの血液脳関門が十分に成熟すると考えられる年齢)未満の乳児に投与することは推奨されません。

日本における添付文書では、「用法・用量」の項に、小児におけるカプセルの対象を体重37.5kg以上の小児、ドライシロップでは幼小児(1歳以上)としており、さらに、「効能・効果に関連する使用上の注意」および「小児等への投与」の項にて「1歳未満の患児(低出生体重児、新生児、乳児)に対する安全性および有効性について確立していない」と記載をしております。
弊社といたしましては、タミフル投与に際しまして、本剤使用上の注意および適応の範囲内で使用されますよう、また、1歳以上の患者のみに使用されますよう重ねてお願いいたします。


|本件に関するお問い合わせ先| 中外製薬株式会社 医薬情報センター
TEL:0120−189−706