まずいお薬への対策

「お薬がまずくてのめない!」との訴えは年々増加しています。お薬自体は20年、30年前に較べると美味しくなったのですが、一方でお菓子は格段に美味しいものになり、相対的に「薬がまずい」と感じてのむのに抵抗を示すお子さまが増えているのは間違いありません。

小児へのお薬は症状に応じて咳止め、鼻水止め、抗生剤、下痢止めを調合して出来上がるですが、味を大きく左右するのは抗生剤です。実際に薬を調剤するとよく分かるのですが、量が圧倒的多く、また味も一番主張が強いものになっています。その他の咳止め、鼻水止め、下痢止めにも美味しくないものはありますが、抗生剤に較べると存在感は低く、味対策は抗生剤をどうするかが要となります。

薬で「まずい」と評判が悪い原因は、お薬そのものが苦いためです。少し分かりにくい表現ですが、「おししい、のみやすい」とされるお薬は、薬自体が無味無臭に近く、そのため水に溶かしても薬の周囲を覆うコーティングが甘みを出すだけで苦味が出ないのですが、「まずい」と定評のあるお薬はコーティーングが溶けた後、お薬自体の苦味が出現し、「後味が悪い、苦味が出る」結果となります。

美味しいお薬のみでいつも処方できれば問題がないのですが、病気によっては美味しい薬では良くならないものもあり、また美味しい薬は当院だけではなく、他院も頻用しているためどうしても耐性菌が出現し全体的に効果が落ちてきていると感じています。そのためやむなく「まずい」お薬を処方するのですが、やはり評判はよくありません。

最近になり「まずい」と定評があった抗生剤のうち2種類が「味を改善した」との触れ込みで新発売になりましたので、当院職員で試飲会を行いました。たしかに従来より改善されていましたが、基本的にまずいのは残念ながら変わりありません。しかしお薬を溶かす相手の相性によりかなり味は改善されるのが分かり、皆様へのご参考にしたいと思います。

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